探偵手記

コナンのこととかまぁいろいろと…

ネタバレほぼ無し【劇場版名探偵コナン紺青の拳】ファン目線レビュー&感想

初日朝一で見てきました。『ほぼ無し』なので「一切見たくない」という人は読まないように気を付けてください。
犯人などの言及はありませんのでご安心を。

もともと映画レビューとかを時々していたので、そのノリになると思います(笑)

 

ブログのタイトルを見ても分かる通り、こちらはファンブログになっております。
普段は原作の感想や考察、インタビュー記事などの感想をしています。
『ファン目線』で見たものなので、ライト目線とは少し違ったものになるかもしれません。あいにくBLにも疎いのでそちらの目線でもありません。あえてがっつりファン目線を包み隠さずレビューします。
少しマニアックな突っ込みをするかもしれないので、ご了承ください。

 

あらすじ(映画.comより引用)

大ヒットアニメシリーズ「名探偵コナン」の劇場版23作目。劇場版シリーズでは初めての海外となるシンガポールを舞台に、伝説の宝石をめぐる謎と事件が巻き起こる。コナン宿命のライバルでもある「月下の奇術師」こと怪盗キッドと、これが劇場版初登場となる空手家・京極真が物語のキーパーソンとなる。19世紀末に海賊船とともにシンガポールの海底に沈んだとされるブルーサファイア「紺青の拳」を、現地の富豪が回収しようとした矢先、マリーナベイ・サンズで殺人事件が発生。その現場には、怪盗キッドの血塗られた予告状が残されていた。同じころ、シンガポールで開催される空手トーナメントを観戦するため、毛利蘭と鈴木園子が現地を訪れていた。パスポートをもっていないコナンは日本で留守番のはずだったが、彼を利用しようとするキッドの手により強制的にシンガポールに連れてこられてしまう。キッドは、ある邸宅の地下倉庫にブルーサファイアが眠っているという情報をつかむが……。

 

京極真という男

まずはファンらしく原作の紹介。

今回の見どころはなんといっても『京極真』というキャラクターがはじめてメインで映画に出たということです。
原作者曰く青山作品史上武器が無ければ一番強いキャラクター。故にレアキャラで、原作に登場するたびに規格外の大暴れをしてくれます。青山先生は空手をなんだと思っているのか。
初登場は『園子のアブない夏物語』というエピソード。
殺害現場を目撃されたと勘違いした犯人が、園子に襲い掛かる…そこに登場したのが彼でした。
振り返ればもはや鈴木園子のストーカーだったのではないか、という登場をします。彼氏が欲しいのに境遇や隣に居る蘭に人気を全てもっていかれ、男運が最悪だった園子は、京極の真摯な彼の想いに撃たれ、その後二人は付き合うようになります。
何故京極は園子を好きになったのか。それはこの映画には描かれていないのですが、空手の試合で蘭を一生懸命していた姿に一目ぼれした…まっすぐな高校生18歳なんですよ。そう、忘れがちですが実は高校生なんですよ。静岡の庶民的な旅館が実家で、夏休みになると実家に帰ってバイトしてる孝行息子。どこにでもいる高校生だと思って今作を見てくださいね。

 

怪盗キッドVS京極真

本作のきっかけになったエピソードは原作82巻に収録されています。
怪盗キッドといえば余裕な立ち振る舞いが魅力的なのですが、このエピソードではキッドの狙う宝石を守るものとして京極が登場しました。
京極さんは少しばかり嫉妬心が強いので、園子のアイドル怪盗キッドに本気で挑んでしまいます。
青山作品史上素手で戦えば最も強い男はキッドの余裕を剥ぎ取り、柱をなぎ倒し、ついには追い詰めたのです(まぁ逃げるんですが)。
キッドまじで逃げて、と彼の命の危険を感じたのはVS京極戦が初めてのことでした。
この回が評判をうけて、今回劇場版でキッドVS京極が実現しました。

 

いきなり感想

結果的に言うと大満足でした。
まず言及するなら作画ではないでしょうか。ボンズサンライズが参加したと話題になっていたのも納得の劇場版NO.1作画クオリティだと思います。
今作はザ・エンターテインメントトムス・エンタテインメント
みんなで見終わったあと「あー面白かった!」と思える娯楽作品になっています。
ここ数年の作品は、少し層を絞っていたかなという気がしていました。あとはマンネリ感をなくそうと、シリアス、大人向け、恋愛全振りなどバリエーションを変えて飽きさせないようにしていましたが、今作はまさに名探偵コナンの王道映画。1分も飽きさせることがありませんでした。
青山先生は常にそういう映画を目指していたように思うので、先生の感想が気になりますね。
かといって古臭くなく、新しいコナンという印象を受けました。アニメ全体から香る時代が変わったなぁ。
こういうと「ライト層向け」とも言われるかもしれませんが、圧倒的に原作ファン向けなんです勿論ライトの方もここ数年の中では一番楽しめると思います。しかし今回はコナンファンとして激熱胸熱の内容になっています。

ではファン的にアツかった点を、できるだけネタバレ無しで書きたいと思います。できるだけ。

 

新一と蘭が付き合って初めての劇場版!!!

これは人が何人も死んだよりもコナン史的には重大事件でした。
原作95巻でついに関係を確かめ合った二人…映画はそこからの時系列になっています。
予告を見て分かる通り、新一と手を繋ぐ蘭…。これは彼女の余裕です。
それがラストあんなことになりそんなことになって、ああだったなんて!
京園映画に見せかけて「らぁぁぁぁん!」も健在です。
あとこれも予告に使われているんですが、蘭とアーサー・ヒライ(笑)の邂逅。
このシーンがあってよかったと思いました。ここでコナンの原点を思い出します。
確かに今回の映画の本題は京極と園子、そしてキッドたちのあれこれなんですが、根底にはコナンと蘭の物語があるということを示しているようでした。そして「あの曲(キミがいれば)」も復活したんです。歌詞はおあずけでしたが、あの曲が流れるだけで、名探偵コナンという作品の本質が浮かんで、しかもテンションがMAXまで上がるんですよね。軸がぶれなければ、建物や街をいくら爆破しようがぶれることは無い名探偵コナンができあがるのです。

 

京極と園子の関係

新一と蘭が原作で正式に付き合って、平次と和葉の映画「から紅のラブレター」があって、忘れるわけないでしょう?と飛び出してきたカップルが今年のメインでした。しかし京極と園子は実は前述した初登場回で既にいい感じになっていて、その後とくに説明の無いまま付き合っているような描写になってしまいます(青山カップルは告白シーンがほぼ無いので)。
遠距離恋愛も上手く行っているようですし、定番幼馴染でもないし過去回想も無い。何が描かれるんだろう…?と正直なところ疑問だったのですが……過去は無いが今がある。杞憂でした。応援上映では「きゃーー」という甘い悲鳴があがることでしょう。
今回の映画で多分、二人の関係は少し変わったと思います。
是非その目で確かめてください。思い出すだけで幸せです。

 

怪盗キッド映画としての紺青の拳

きっとキッド映画といえば美味しいところをかっさらっていく泥棒みたいな印象を持つ人も多いかもしれません。しかし今回は外部から入ってくるのではなく「コナンとキッドが手を組む」ところから物語が始まります。そのシーンはかなり面白いので注目です(笑)
つまりキッドは主役位置。『まじっく快斗』のような印象を持って見ても良いかもしれませんね。
キッドの描写の仕方が、これまでの映画とは違うところでしょう。
もちろんハットをかぶってマントを靡かせる彼は間違いなく月下の魔術師です。
もうそのイケメン度は凄まじく、シンガポールのビルの合間を飛び回るキッドは映画館で見て良かったなぁって思いました。なんせ作画が良いし、昨年から参加のイメージボードloundrawさんの作りだした舞台や色彩が今年はとくに多用され、キラキラした街が最高なんですよね。キッドはシンガポールが似合う。
しかしそれ以外の日常パート。これが本当に良かった。
黒羽快斗がそこにいるんですよ。コナンに出てはいけないはずの、キッドの中の人です。
例えば他のキャラが色々しているときにアイス食べてたり(甘党)、腹出して寝てたり、ちょっと間抜けな彼がちゃんといたんです。これは後述しますが、今までの映画に足りなかった描写で、なぜキッドが人気なのか。その点をカバーしてきたと思います。
間抜けだけどかっこいいんですよ。キッド映画としては満点。

 

物語の多重構造

これ一回見ただけで把握できるかな?と挑戦するような演出と脚本がありましたね。
脚本自体もよくできていると思うのですが、もし見逃してたら「あそこどうなってたの?描かれて無くない?」と思うかもしれません。
最初はキッド、京極&園子パート、コナンパート(と、怪しい人達パート)目線と時系列が複数で進行します。混じりそうで、まったく混じってないんじゃないかというストーリー構成が、終盤にかけて合体する…この瞬間面白さが爆発します。物理的にも。
エンタメと言っても頭からっぽにして見る系ではなく、考えないとそれは味わえないかもしれません。
去年のコナン「ゼロの執行人」は推理パートを静かにして、ラストで爆発させまくりカタルシスを味あわせるという構成でした。これはこれで良いんですがミステリー感はなく刑事ドラマ感もあり(主人公が警察なので良いんです)「コナン?」という感じがしていました。
今年はトリックが用意されています。それがいくつも。
名探偵コナンと言う作品はそもそも犯人当て作品ではありません。大体3択なのでランダムに一人選んどけば3分の1の確率で当たるようになっています。
ではなんなのか。
フーダニット・ハウダニットホワイダニットという言葉があります。これは最速で記事をだしていた方もおっしゃっていたのですが、今作はこの三つが交互に何度もでてくる推理小説のような作りになっているのです。
そして名探偵コナンは特にWhydunit―どうやったのか?に力をいれている作品だと思っています。
犯人は多分当てることができます。しかしその手法を当てられることができるでしょうか?
推理物の中にはそんな手法わからねぇよ、みたいなものも多いです(原作だってそういうとき多いですが)。それでもちゃんと解けるようになっているのが、フェアな推理小説というものです。
今年はちゃんと解けるようになっています。
例えば、どうしてキッドとコナンはあれを知っていたの?とか、どこからキッドはそんな大きなものを持ってきたの?あの人のあの顔はなに?とか細々したところ…。多分一回見ただけじゃ見逃している人が殆どでしょう。
こういうところが、ファン向けだと思う部分です。アイス食べる快斗っていうのもファンだから気付く部分。二回見るように作られています。まったくながら見仕様では無い。
言いたいのは「犯人分かったからって今年のトリックは終わりじゃねぇんだぞ」ということです。そしてそのトリックもファンじゃないと気付かないものです。ニワカに分かってたまるかーと言うメッセージかもしれない(笑)そしてそのトリックを確かめるために、ファンたちはまた劇場に足を運ぶのだった…。

 

キャラクター像が原作寄りへ

ブコメ部分が青山先生脚本になっていたり、アーサーヒライ名を名乗るところもそうらしいですが、それ以外でも細々とした仕草が原作に近いものに見えました。
今作で京極と園子は喧嘩します。しかし蘭はそれをとくに心配していません。
これは原作で二人が出会ったところから見ている蘭だからこその反応のように思いました。そんな感じで、登場キャラたちの動きが違和感なく見えるのです。小五郎も必要以上に高校生たちの関係に介入してこないし、少しシティーハンター感もあり(笑)
そう言えば京極さんは彼と会ったこと無かったなぁとか、快斗が快斗すぎるところとか。
コナンとキッドの距離感に関しては、原作以上に理解があったような(おい)台詞も初期の二人をなぞるような場面もありました。
園子に関してもそうかもしれません。原作で京極さんを想う時、彼女は等身大の女性として描かれています。それが惜しげもなく発揮されたのが今作でした。
そしてなんといっても女の子の描かれ方が間違いなく過去一番可愛い。園子本当に可愛い。ゲストキャラまで色気を感じました。服がおしゃれだ~!女性監督ならではでしょうか?
今回シンガポールに灰原はこないのですが、灰原も可愛かったなぁ。良い感じのコナンとの距離感ですね。
慣れあわず、自分をもって、彼女たちらしく。園子と蘭の描写の仕方は大正解だと思います。青山女子は強い、というのは武力ではなく精神力なのかな。……まあ武力も強い人はいるけど。
そしてコナンの描写も。アーサー君はコナン君より良い子って感じなんでしょうかね。コナンの冷めた目を見ながら、こいつ敵にだけは回したくねぇなと思いました。緋色シリーズか?
ファン的に京極さんの人間やめちゃった感はどうなの?と言われてそうですが、人間にやめてるのは最初から知ってるので問題ありません。
こまか~い描写が今回は散りばめられています。ファン大満足といった点はここにあります。
犯人の動機に関してはネタバレすぎるので伏せますが、これについて言及が特に無いんですよね。実はその動機って、あの人のあれと同じ…という「察しろよ」という圧を感じられるのはファンだけです。
余りに伏せすぎてもつまらないので一つネタバレをすると、キッドの道具阿笠博士が作っているという裏設定があるので、その辺注目してご覧ください。

 

まだまだ語りたいことはあるけどこの辺で

ファンなので!四六時中語ってられるんですよこんなもんは。でも打つのしんどくなってきたのでやめます。
一つ言っておきたいのはある感想にキャラクターの精神的成長が見られなかったのが残念というものがありました。
でもね、ファンは思うのです。
彼は成長しなくていいんですよ。成長したら地球が滅ぶんです。と言ったらギャグみたいなんだけど、彼は全く悪くないんだから成長しなくていいんですよ(笑)サイヤ人になったじゃないか(笑)
京極さんであえていうのなら蹴撃の貴公子らしく蹴り技がもっと見たかったです。でもタイトル拳だからね!孤高の拳聖という紹介もほしかったかも。

個人的には永岡監督、これからも続投してほしいです。
インタビューでこれまでのコナン映画の印象的なアクションも担当されてきたと聞いたので(今年は暴れまくりでしたね)、もし監督じゃ無くても今後携わっていくのかもしれませんが、トータルバランス的にはとても納得できる演出をしていたと思います。コナン愛は、痛いほど伝わりました。
もちろん脚本の大倉さんも今後もコナンを書いていって欲しいです。彼の脚本はキャラクターが活き活きしている気がします。それが誰の手によってかは分かりませんが、コナンと大倉さんの相性が良いのは確かなんでしょうね。

ああ、語り終らない。
予告って毎年あるじゃないですか。あれで大体メインキャラ予想できるんですが、そうじゃなくて京極&園子って実は「から紅のラブレター」にちらっと出ているんですよね。声優さんが聞かされてたのは二年前らしいので今年もそういうのがあるのでは…?と考えますね。

ファンはきっとこんなレビュー見なくても見てると思いますが、ファンはどう見ているのか見に来た方は是非こんな目線で見れるんだよということを知っていただきたいです。

早く4DXでキッドと共に空を飛んだり京極さんに投げられたり振り回されて叫びたいです。

 

 見終わったらなるほど!のティザーでした。